ホーム>旅行記>02.東南アジア前編(アジア旅行2001-2002)
ムアンゴイの次はラオスの古都ルアンパバーンを目指す。ムアンゴイからルアンパバーンへ行くには、まずボートで南下し、 ノンキャウという町でルアンパバーン行きのバスに乗り換えることになる。
朝6時半に起き、外の露店で朝食用のパンケーキを買ってきて宿のレストランのテーブルで食べていると、 宿のおばさんがマンゴーを一つ持ってきてくれた。滞在中昼飯や晩飯などいろいろご馳走になったが、 宿代が1泊約45円という安さなのに、こんなによくしてもらってなんだか申し訳ないくらいだった。 だからムアンゴイではなるべくこの宿のレストランを利用することにしていた。ムアンゴイが居心地よく 感じたのもこの宿のご夫婦の人柄の良さによるところが大きいだろう。
朝8時出発のボートに乗り込むとボートはすぐに出発した。見慣れたナムウー川の風景の中をボートは淡々と走っていく。 前方にこれまでラオスではお目にかかったことが無かったような立派なコンクリート製の橋が見えてきたら、それがノンキャウであった。 ノンキャウに到着後、程なくしてルアンパバーン行きの乗り合いトラックが到着した。 交通に関してはなかなかスムーズにいかないラオスにしてはなかなかよい乗り継ぎだった。
ノンキャウからルアンパバーンまでの道はよく、乗り合いトラックは快調にとばす。ガイドブックによると 4時間かかる道のりをわずか3時間で走ってくれた。トラックはルアンパバーンの北バスターミナルに到着。 そこから街まではトゥクトゥクに乗っていくことになる。
ルアンパバーンは世界遺産に町ごと指定されている。「世界遺産の町」という期待がやや先行しすぎていた感があったが、 しかしそれでも町を少しぶらつくと、この町が雰囲気がよく居心地もなかなか良さそうな町であるというのは分かるような気がした。 ルアンパバーンはメコン川沿いにあり、メコン川とナムカン川の合流地点に位置する。ちょうど町の真ん中にプーシーと 呼ばれる高さ150メートルぐらいの丘があり、そのプーシーとメコン川に挟まれた位置に王宮が造られている。 (その王宮(現在は王宮博物館になっている)には高さ50センチぐらいの黄金の仏像「パバーン」が安置されており、 どうやらこの仏像がルアンパバーンという名前の由来になっているらしい。)メコン川とナムカン川の合流地点がちょうど 半島の様に細長く突き出ており、その半島エリアにはワット・シェントーン(ワットとは寺院を意味する言葉)を はじめとした寺院群がひしめいている。地図を見ていると目印となるものが多く、実に分かりやすい町の構造をしているのが分かる。
メコン川のすぐ近くの宿に部屋をとり、町歩きに出かける。今日もまた暑い。もう雨期に入っているはずだが、 それほど雨も降らず快晴の日が続く。まずは地形的にも気になる「半島エリア」に足を向けた。 この半島エリアの中心の通り沿いにはレストラン(洋楽のミュージックTVを見ながら西洋料理を食べることが出来る) や土産物屋、ネットカフェなど旅行者のための店がずらりと軒を連ねており、想像以上に観光開発が進んでいる。 手紙一つ出すにしてもわざわざ郵便局へ行かなくても、絵はがきなどを売っている店にはたいていメールボックスが設けられており、 旅行者のための便宜が図られている。
ワット・シェントーンのチケット(5000キープ:約70円)
半島エリアの先端あたりにルアンパバーンの見所のひとつであるワット・シェントーンがある。 この寺院は1560年、セータティラート王により、メコン河とナムカーン川の合流点に住む2つの蛇神をまつるため建立されたらしい。 この寺院のどこが見所かというと、本堂やその他のいくつかのお堂の外壁に色つきの鏡の破片を使って描かれた美しいモザイク画が ぎっしりと描き込まれているところである。特にこの中でも、本堂に比べて小柄な2つのお堂は、壁面がピンク色 (ピンク色といってもどぎついピンク色ではなく、程々に落ち着いたパステル調のピンク色である)に塗り込められ、 その上に昔の生活風景が鮮やかに描き出されている。
大木を描いたモザイク画
昔の生活風景を描いたモザイク画
ピンク色に塗られた小さなお堂
メコン川の眺め
ワット・シェントーンからの帰り道はメコン川沿いの道を通ってみる。この道はやしの木などの緑が多く、 歩いていてとても気持ちがいい。とてもトロピカルな雰囲気のある道で、メコン川沿いの道というよりは、 どこかのビーチサイドの道といった感じであった。(ただ目の前に広がるのは真っ青な広い海ではなく、 まったりとした泥色のメコン川なのだが)夕暮れ時のメコン川を臨む絶好のポジションにシェイク屋があり、 ようやく涼しくなりかけた川沿いでメコン川と対岸の村を眺めながらマンゴーシェイクを飲んだ。
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町の規模は大きくなっても、朝飯を食べるのにちょうどよい屋台はたくさんある。 これは他の東南アジアの国々でも同じ事が言えるように思える。例えばバンコクのような大都市でも路上には 普通に屋台が出ていて、そこでは普通にみんな食事をしている。このことは町の規模が大きくても小さくても同じであった。 東南アジアの旅(東南アジアに限らないが)ではこの屋台での食事がとにかく楽しい旅の醍醐味の一つであることは間違いないと思う。 なぜそんなに楽しいのか?当たり前の理由になってしまうが、やはり一つにはそれがおいしくて安いからということが言える。 それに例えば同じ麺を扱う屋台でも、麺の種類、スープの味付け、量、店の人の人柄、等々どれをとっても同じものは一つもないのである。 地味ながら、どの店も大変個性的であり、そのような屋台をはしごすることはとても楽しい。
ルアンパバーンにも屋台の集まる屋台街のようなところがあって、そこにはラオスに入って以来初めて目にするお粥屋や、 ラオコーヒーやフランスパンなどを出す屋台カフェなどがあった。この屋台カフェでは濃厚でとても美味しいラオコーヒーを 飲むことが出来るため、いつも結構客で賑わっている。他の東南アジア諸国と同じく、ラオスも練乳でコーヒーを飲む文化圏だ。 コーヒーが美味しく、店のおじさんも面白い人なので、ルアンパバーン滞在中は何度かこの店に足を運んだ。この店ではラオコーヒーだけでなく 、「オーバルティン」というネスカフェみたいな飲み物もあり、ラオコーヒーと同じ値段で飲むことが出来る。 ラオコーヒーはちゃんと豆からコーヒーを作っているが、「オーバルティン」はまさに粉をお湯に溶かし込むだけである。 かかる手間がまったく違うのに値段が同じという、このあたりの感覚はまったく理解に苦しむところであった。
東南アジアの旅のもう一つの醍醐味に「市場めぐり」がある。しかしこのルアンパバーンの市場では少々痛い目にあってしまった。 ラオスでは銀行などの公定レートと実勢レートの開きが大きく、闇両替を利用することが多くなる。ルアンパバーンにはいくつかの市場があり、 そのうちのひとつであるタラート・ダラー(タラートは市場の意味)をぶらついていた時に声をかけてきた闇両替のレートがかなりよかったので、 交渉してその闇両替屋のお姉さんと両替する事にした。しかし出てきた札は1000キープ札を主体とするもので、 50ドル(430000キープ)を両替しただけで、10cmぐらいの札束が返ってきた。「闇」両替であったので、 こちらにも少々後ろめたいところがあったため、ろくに数えることもせずにバッグの中にその札束を突っ込んだ。
しばらく町をぶらついた後に宿に戻ってその札束を数えてみると、やはり少なかった。何となく胸騒ぎがしていたのである。 額にすると45000キープ、日本円にするとたかだか650円程度の額だったが、6000キープ(86円) もあれば夕食を食べることが出来、12000キープ(170円)もあれば1泊する事の出来るラオスにおいては大金である。 これではいいレートどころか、めちゃくちゃ悪いレートで両替をしてしまったことになる。あまり腹を立てたりすることの少ない僕が、 何故かこの時は珍しく頭に血が上ってしまった。現場を離れてしまって時間が経っていたので、 その失った45000キープを取り戻すのは難しいだろうが、せめてあの両替屋のお姉さんに文句の一つも言って やらないとどうにも気が済まなかった。すぐに市場に向かい、先ほど両替をしたところに行ってみると、例のお姉さんがいた。 出来るだけこわい顔をつくって、早速文句を言い始めた。彼女は訝しげな顔をしながらも何のことかちゃんと分かっているようで、 思っていたよりも話は早かった。レートは相場まで下がってしまったが、無事足りない分のお金を取り戻すことができ、 血が上っていた頭を少し冷やすことが出来た。まったく油断も隙も無いのであった。
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プーシーのチケット(8000キープ)
ルアンパバーンに滞在して4日目にプーシー(丘)に登ってみた。プーシーには北側の王宮方面と、西側のタラート方面、 それと南側からの3カ所の登り口があるようで、ぐるっと丘のふもとを一周した後で、一番さびれた裏口ぽい南側から登ってみることにした。 プーシーに登るには8000キープ(114円)の入場料が必要となる。だから一番さびれた南側からなら、 ひょっとして誰もいなくてこっそりタダで入ることが出来るんじゃないかとせこいことを考えていたが、もちろんそんなことはなく、 途中にいた僧達にちゃんと入場料を取られてしまった。我ながらせこいとは思ったが、しかしラオスの物価を考えると この8000キープはやはり高いと思った。初日に行ったワット・シェントーンでも5000キープなのに、 ただ丘に登るだけで8000キープもかかるのだ。世界遺産の町ではその眺望にもお金がかかるのだった。しかし、 早朝や夜にはチケット売場に人がいなくなるので、タダで登ることが出来るらしい。
プーシーから南側の眺望(左側に見えるのがナムカン川)
プーシーの頂上からはルアンパバーンの町並みが一望できるということだったが、北側の王宮やメコン川方面には木が よく生い茂っていてあまり風景を見ることは出来ず、南のナムカン川方面に向かって眺望が開けている。 ギラギラと照りつける強烈な太陽光線を浴びながら、南側に開けた眺望をスケッチすることにした。
ルアンパバーン滞在最後の日には早起きをして、プーシーからルアンパバーンの日の出を拝もうと意気込んでいたが、 朝気がついたらすでに時計は5時半を指していた。いくら頑張っても日の出の瞬間は拝めそうになかったので、 結局そのまま寝続けることにしてしまった。
こうして東南アジアでの旅は穏やかに進んでいくのだった。