こんにちは!移住して失業保険をもらいながら職業訓練を受けているしゅーいちです。
失業保険といえば、待機期間が長かったり、受給できる期間が3ヶ月くらいだったり、毎月ハローワークに通う必要があったりして、なかなか使い勝手が良くないイメージがあるかと思います。
しかし職業訓練を受けることで、その待機期間もなく、受給期間も最大2年間まで延長できる制度があることは知っていますか?
知らない人も結構多いのではないでしょうか?
私も最初は知りませんでしたが、色々と調べているうちにこういう制度があることを知りました。
転職して新天地で新しい生活を始めたいと考えている人にとっては、1つの選択肢になりうる制度だと思います。
実際に失業保険をもらいながら、職業訓練を受けている私がこの制度について詳しく説明したいと思います。
目次
失業保険は最大2年間延長して受給できる
会社勤めの方は皆さん雇用保険を月々の給料から支払っていると思います。
よく失業保険と言われているものは、正式にはこの雇用保険制度の失業等給付の基本手当のことです。
労働者の生活及び雇用の安定と就職の促進のために、失業された方や教育訓練を受けられる方等に対して、失業等給付を支給します。
(厚生労働省のホームページより抜粋)
倒産や解雇など特定の理由による退職ではなく、自己都合による退職の場合、基本手当がもらえるのは90日間〜150日間です。
雇用保険の被保険者であった期間が1年以上10年未満の場合は90日間、10年以上20年未満は120日間、20年以上は150日間となります。
被保険者であった期間が過去2年間で通算1年未満の場合は受給資格がないのでご注意ください。
また、自己都合退職の場合は、失業保険を受給できるまでに3ヶ月の給付制限期間があります。
実際にもらえるまでは結構長いですよね。
しかし、職業訓練を受けることで、基本手当の受給期間が最大2年間まで延長できるようになります。
しかも、訓練開始と同時に給付制限が解除されるので、3ヶ月待つことなく訓練開始日から受給することができます。
通常の基本手当の受給方法は、ハローワークのホームページに詳しい説明があるので割愛して、ここでは職業訓練を受けながら2年間失業保険を延長して受給する方法やメリット、デメリットについて説明したいと思います。
参考 雇用保険手続きのご案内ハローワーク インターネットサービス失業保険を2年間もらうための受給資格
失業保険を2年間延長して受給するには、まずは失業保険の受給資格を満たしている必要があります。
失業保険の受給資格がある前提で、訓練期間が2年間の職業訓練を受けることで、訓練を受けている間は基本手当を受給することができます。
厳密には訓練開始(入校式)から訓練終了(修了式)までなので、2年よりは半月ほど短くなります。
受給資格は、次のように決められています。
"雇用保険の被保険者が離職して、次の1及び2のいずれにもあてはまるときは一般被保険者については基本手当が支給されます。
1.
ハローワークに来所し、求職の申込みを行い、就職しようとする積極的な意思があり、いつでも就職できる能力があるにもかかわらず、本人やハローワークの努力によっても、職業に就くことができない「失業の状態」にあること。
したがって、次のような状態にあるときは、基本手当を受けることができません。
- 病気やけがのため、すぐには就職できないとき
- 妊娠・出産・育児のため、すぐには就職できないとき
- 定年などで退職して、しばらく休養しようと思っているとき
- 結婚などにより家事に専念し、すぐに就職することができないとき
2.
離職の日以前2年間に、被保険者期間が通算して12か月以上あること。
ただし、特定受給資格者又は特定理由離職者については、離職の日以前1年間に、被保険者期間が通算して6か月以上ある場合でも可。"
また、失業保険の延長目的で職業訓練を受けるのを防ぐために、給付日数の3分の2以上が残っていることが受講の条件になっています。
以上をまとめると、職業訓練を受けながら失業保険を2年間もらうためには次の4つの条件を満たしている必要があります。
- いつでも働ける状態であること
- 自己都合退職の人は仕事を辞めるまで1年以上雇用保険に加入していたこと
- 2年コースの職業訓練校に入校すること(選考試験に合格すること)
- 失業保険の給付日数の3分の2以上が残っていること
職業訓練校への入校と退職のタイミング
職業訓練を受けるためには、まずは訓練校に入校するための試験を受ける必要があります。
1年コース、2年コースの職業訓練は4月に始まるコースが多いと思いますが、選考試験は申し込み受付が11月頃から始まります。
また、選考試験の面接の際に見学会への参加の有無について聞かれるので、事前にオープンキャンパスや見学会に参加しておいた方がいいと思います。
会社を辞めて職業訓練を受けようと考えている人は、ハローワークを通じて申し込む必要があるので、時間には余裕を持って準備を進めたほうがいいでしょう。
私の場合は、大町市への移住とセットだったので、まずは元の居住地ではなく大町市のハローワークに相談に行きました。
入校したい職業訓練校の近くのハローワークの方が事情に詳しいので、一度相談に行くことをお勧めします。
ただ、実際に職業訓練の受講指示を出すのは申し込み時点で住んでいる住所を管轄するハローワークになりますので、選考試験の申し込みもそのハローワーク経由で提出することになります。
ハローワークに行くのは退職してからというイメージがありますが、在職中でもハローワークで試験の申し込みや受験はできるので、準備は早めに進めておきましょう。
会社を辞めるタイミングは、4月から始まる職業訓練に通いたい場合、2月末がベストです。
これは、失業保険の給付額が直近6ヶ月分の給与を元に計算されるため、例えば3月半ばに退職した場合、最終月の給与が半月分になってしまって給付額が少なくなってしまうためです。
3月末では、会社から離職票をもらったり、ハローワークでの手続きの時間が取れなかったりするので、現実的には難しいと思います。
どうしても事情があって3月末まで辞められないという場合は、所管するハローワークに相談してみてください。
多少の無理は聞いてもらえるかもしれません。
多くの会社では退職の1ヶ月前までに退職の意向を会社に伝える必要があると思いますが、選考試験の結果は1月末には出るので、選考試験に合格してから会社に退職の意向を伝えても2月末の退職にギリギリ間に合うタイミングです。
ただ、引き継ぎに時間がかかったり、関与している仕事のスケジュールの関係などで、1ヶ月前に会社に伝えるのでは遅いという人もいると思うので、ご自身の状況に応じて退職の意向を会社に伝えるタイミングは考えてみてください。
職業訓練を受けながら失業保険をもらうための手続き
通常、失業保険を受給するためには、毎月定期的にハローワークに行って失業の認定の手続きをする必要があります。
しかし、職業訓練に通っている場合は、訓練校経由で失業保険受給の手続きを行うので、ハローワークに行く必要がありません。
ハローワークに行って失業の認定を受けるだけで半日ほど時間が潰れてしまうと思うので、これは大きなメリットですね。
毎月月末に当月分の書類を2枚書いて訓練校に提出したら翌月半ばには振り込まれます。
ただし、アルバイトした場合や授業を欠席した場合は、追加で何枚か書類を出す必要があります。
失業保険の給付額
職業訓練を受ける場合、基本手当のほかに受講手当、通所手当、寄宿手当が支給されます。
- 基本手当
- 受講手当
- 通所手当
- 寄宿手当
基本手当
基本手当は、直近6ヶ月分の給与を元に計算されます。
この給与には残業代も含まれるので、最後の半年頑張って残業すれば基本手当の額を増やすことができます。
賞与は含まれません。
基本手当日額は、年齢区分ごとに上限が決まっているので、年収の高い方は要注意です。
基本手当日額がいくらになるか計算するサイトもありますので参考にしてみてください。
例えば30歳以上45歳未満の場合は、基本手当日額の上限は7,570円になります。(令和元年8月1日時点)
上限にあたる月収の目安は45〜46万円程度になります。(残業代、通勤手当、住居手当含む。賞与、退職金は含みません)
この月収より高くても、基本手当日額は7,570円よりは高くなりません。
基本手当日額の上限は変わることがありますので、最新の情報はハローワークのホームページで確認してください。
参考 基本手当についてハローワーク インターネットサービス基本手当は土日祝日も関係なく支給されるので、月30日で計算すると最大月227,100円支給されることになります。
長期の職業訓練を受けている場合、夏休み、冬休み、春休みの3回長期休暇がありますが、この休暇の間も基本手当は支給されます。
受講手当
受講手当は、基本手当の支給の対象となる日のうち公共職業訓練等を受けた日に支給されます。
受講手当の日額は500円で、受講手当の上限額は20,000円です。
つまり、40日分の受講手当が支給されることになります。
通所手当
通所手当とは、いわゆる交通費です。
職業訓練校に通うために必要な電車やバスの運賃、自動車のガソリン代が支給されます。
電車やバスは定期代、自動車は自宅から訓練校までの距離に応じて決められた額が支給されます。
寄宿手当
寄宿手当は、職業訓練を受けるために家族と別居して通う必要がある場合に月額10,700円が支給されます。
家からどうしても通えない距離にある訓練校に通いたい場合は、助かる制度ですね。
移住先で就職したり職業訓練を受ける場合は移転費もお忘れなく
私もそうですが、移住を考えている人が移住と同時に仕事を辞め、移住先で就職したり、職業訓練を受けたりするケースは多いと思います。
その場合、住所が変わるので移転費が支給される場合があります。
特に家族連れの場合は、結構な金額がもらえるので、知っておいて損はありません。
移転費は、雇用保険の受給資格者の方が、ハローワーク、特定地方公共団体または職業紹介事業者の紹介により職業に就くため、または公共職業訓練等を受講するために、住居所を変更する場合に支給されます。
いずれも、ハローワークの所長が必要であると認めたときに支給され、鉄道賃、 船賃、航空賃、車賃、移転料および着後手当があります。
失業保険をもらいながら職業訓練を受けるメリットとデメリット
失業保険は非常にありがたい制度ではありますが、どうしても前職の給料よりも収入が少なくなってしまったり、次の就職までブランクができてしまうなど、デメリットもあるので慎重に検討したほうがいいでしょう。
失業保険をもらいながら職業訓練を受けるメリット、デメリットをまとめてみたので参考にしてみてください。
- 新しい職に就くために必要なスキルや資格を身につけることができる
- 公には公開されていない求人情報が得られる
- 新天地での生活環境を整えるための時間が得られる
- 同じ目標に向かって頑張る仲間が得られる
- 失業保険の給付制限期間が解除される
- 職業訓練を受けている間は失業保険の給付が延長される
- 失業の認定のためにハローワークに行く必要がない
- 学割が使える
- 失業保険だけでは月々の生活に必要なお金を十分にはまかなえない
- 次の仕事に着くまでにブランクができる
- 一定額を超えるアルバイトをした場合は、失業保険の給付額が減額される
- 時間の流れがゆっくりとしているため、ぼんやりしているとあっという間に訓練期間が終わってしまう
どういう人が向いているか
- 新天地で新しい職業に就きたい人、手に職を付けたい人
- 目標を持って計画的に動ける人
- 新天地での生活環境を整えるための時間が欲しい人
新天地で新しい職業に就きたい人、手に職を付けたい人
職業訓練はその名のとおり職業に就くために必要な最低限の知識やスキルを身につけるための訓練です。
また、職業訓練校には非公開の求人情報があったり、訓練の一環として短期のインターンに出たりすることも学科によってはあるので、就職率は非常に高い傾向にあります。
そのため、新天地で新しい職業に就きたい、手に職を付けたいと考えている人には、かなり使える制度だと思います。
ただし、年齢が40歳を超えてしまうと求人数が少なくなってしまうので要注意です。
目標を持って計画的に動ける人
デメリットにも書きましたが、特に長期の訓練校は時間の流れがゆっくりしています。
もしかしたらこれは私が通っている訓練校特有の話かもしれませんが、会社勤めをしていた人からすれば、ものすごくゆったりとしたカリキュラムになっています。
そのため、しっかりと自分の目標を持って、周りに流されないように計画的に動かないとやりたかったことが出来ないうちに訓練期間が終わってしまう可能性があります。
限られた人生の中の貴重な1年間もしくは2年間という時間を費やすわけですから、ぼんやり過ごして時間を無駄遣いしないようにしましょう。
また、雇用保険制度を使いながら職業訓練を受けるので、職業訓練の趣旨を理解した上で訓練を受ける必要があります。
とにかく失業保険の延長目的の時間稼ぎがしたい、という人には向いていないと思います。
新天地での生活環境を整えるための時間が欲しいという人
特に地方への移住を考えている人は、慣れない新しい土地での生活に慣れるための時間が欲しいという人も多いのではないでしょうか?
職業訓練を受けている間は、毎日定時であがれる超ホワイト企業に勤めているようなものなので、これまでの会社員生活と比べるとかなり時間に余裕ができると思います。
この時間を生活環境を整えるのに使ったり、訓練校で学んだことを復習してスキルアップのために使ったり、新たな資格取得のために使ったり、子どもがいる人は子どもと過ごす時間として使ったりすることができます。
(まとめ)職業訓練受講中は失業保険を最大2年間延長できる
- 職業訓練を受けることで失業保険の給付を最大2年間延長できる
- 失業保険の受給資格があるかどうかは要確認
- 4月はじまりの職業訓練校に入校する場合、退職のタイミングは2月末がベスト
- 職業訓練校に通っている間はハローワークに通う必要がない
- 失業保険の基本手当日額には上限がある
- メリット・デメリットを考えて
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